【Celebration】Pandora (パンドーラ) by Zahara-Bellydance Daiary
Ruhani Bellydance Diary
★ベリーダンスを通して日々感じることを紹介する ルハニ・ベリーダンス・ダイアリー★
パンドーラは『(神々からの)すべての贈り物』という意味。
ギリシャ神話での土から作られた『最初の人間の女』であり、聖書でいえばリリスやイブのような存在です。
もともと冥界の女神だった説や、地母神レアーの別名であるともされています。
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機知の神プロメテウスが『人間に火を与えたこと』の結果に怒ったゼウスが、人間たちへ火の代償として『逃れることの決してできない究極の災い』を作った。それがパンドーラ。
土と水とで形作られたパンドーラには、神々から様々な贈り物が与えられた。
アフロディーテと彼女に従う女神たちからは、美しく愛らく悩ましい魅力的な外見を。アテナからは、機織りの技術(女性の仕事としての意味だけでなく、自らを飾り立てる術のことも含む?)を。
これによりパンドーラの外見は、アフロディーテをそのまま地上に再現したような魅力的な姿となった。
しかし一方で内面は、嘘や甘い言葉、恥を知らない盗人の性(どんなことをしてでもそれを欲しがるような、本能に支配された貪欲さのこと?)を、ヘルメスからの贈り物として与えられていた。(※一説には、『ゼウスからは好奇心が与えられた』ともされている)
女神の外見に獣のような心…つまり『内と外が正反対の資質を持つ存在』であるパンドーラは、愚か者とよばれるエピメテウス(プロメテウスの兄弟)のもとに贈られ、そこで彼女は『開けてはいけない壷(箱)』を開けてしまう。
『良いもの』が入っていると思って開けた壷(箱)には、人類にとってあらゆる災いが入っていた。
それにより人間の世界にはあらゆる災いが撒き散らされてしまったけれど、エルピスだけは飛び出さずに壷(箱)の中に残ったのだった。すべてはゼウスの計画通りに。
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この話(byヘシオドス)の中で『人間の女』という存在は神から人類への『究極の災い』とされ、以下のような部分を強調しています。
・処女のような外見に、どんな男の意思も骨抜きにしてしまう抗えない美しさと性的魅力を持つ存在。
・一方でその内面は、嘘つきで甘い言葉たくみに誘惑し、理性よりも食欲や性欲など本能に忠実で、貪欲で、男が苦労して手に入れたものをただ貪り衰弱させる存在。
つまりそれらを併せ持つ『女』とは究極の災いであり、様々な災いの根源となる存在だ、と。
ここだけ聞くと、たしかに女は災いの種のように感じます。なんとなく、魔女とかもそんな男性から女性へのイメージで作られたのかなぁと思ったり。
◆ただ…
もう少し深く読み解いていくと、一見悪いもの(恥を知らない犬のような心、とか、盗人の性、とか…)のように書かれているパンドーラの内面は、実はゼウスが賞賛するヘルメスの素晴らしい能力でもあります。
神や女神の持つ素晴らしいとされる資質の一部がパンドーラに与えられていることになりますから、個人的な解釈ではパンドーラはとても『祝福された存在』だったんじゃないかと★
◆さらに
このストーリーを書いたヘシオドスというのは『大の女嫌い』だったとされています。
とはいえそんなヘシオドスの話にも『女は最悪な存在だ』という書き方の裏に、どこか女のその資質に対して『畏怖の念』が込められいるように感じるのは、 『すべての贈り物』というパンドーラの名前の通り、神々ゆずりの畏怖すべき魅力を、ヘシオドス自身が女性の中に強く感じていたからかもしれませんね。
そんな存在だからこそ、たとえ災いの種であるとわかっていても『男たちはこれを大喜びでもらいうけ、夢中で愛さずにいられない』わけで、つまり女は『ゼウスから人間の男に贈られた甘い罠』だとヘシオドスは書いています。
そして、『どんな女も災いであることに違いはなく、いずれにせよ逃れることはできないのだから、男にとって望み得る最大の幸福は良い妻を娶ることで、最悪のことは悪妻を娶ることである』というようなことも。
『男が女に人生を左右されてしまうのは不可避である』と最初っから白旗揚げてる感じが、女嫌いの肩書きを持つ著者の価値観とあいまって、なんとも面白いなぁと思いました。
◆ちなみに
– あらゆる災いは世の中に出てしまったけれども、『エルピス』だけは壷(箱)に残った –
この物語の中に出てくる『エルピス』は、一般的に『希望』と訳されます。
ほかにも色んな説がありますが、私個人としての解釈で一番しっくりくるのは『予知の力』かな?
未来を知る力は時として、希望や期待というものを私たちから奪い、絶望を与えます。未来がわかれば努力しないし、人間が人間として生きるのに欠かせない、可能性という振り幅を狭めてしまう…それは結果として最悪の災いだと思うからです。
更新日:2016.06.19 Sunday