Reading Circle vol.21 -読書会レポート-
ベリーダンスの歴史を描いた 「Grandmother’s Secrets」を読み解く リーディング・サークル。9月17日(日)に第21回目を 迎えました。今回のテーマは「おなか」と「足」です。
ベリーダンスを始める動機は人それぞれですが、 最初は「くびれがほしい」「おなかを引っ込めたい」 と いうことが目的だったという方もいるでしょう。
イラク出身のスーフィー学者でベリーダンサーでもある この本の作者は、「おなか」の章の冒頭から、私たちに こう語りかけます。
「身体の中で、お腹と下腹部ほど、あまりに多くの中途 半端な真実の犠牲になっている場所はないでしょう。 (中略)その人の自然な動きや魅力を制限して、(中略) 平らなお腹を理想とする社会的風潮に答えようとするのは、 なんて残念なことでしょう」。
そして作者は、ベリーダンスを踊るためのおなかに必要な のは「骨盤底筋を鍛えることだけ」と続けます。そのトレ ーニング方法があまりに意表をつくものだったので、リー ディング・サークルの参加者からは、驚きと笑いの声があ がりました。それは、日常生活の中で、誰に気づかれるこ となく、身体のある部分を容易に自分の意思で制御できる ようにする、というもの。それにより身体にどんな変化が もたらされるかが、実に美しい言葉で語られていきます。
「じきに貴女は、エネルギーが身体を循環し始めることに 気づくでしょう。(中略)まるで光の卵のように。(中略) これまでこのエネルギーは漏れていたのかもしれません。 このエネルギーを手に入れれば、身体の覚醒がより高まり、 何が内部で起きているのかを認識できるようになるでしょ う」。
そして、「足」についても、はっとさせられる内容が綴ら れていきます。
「床に座り足を伸ばして、(中略)貴女が自分の足につい て受け入れるのを邪魔している、所謂“欠点”を見てみま しょう。(中略)視線で優しくなでるように足全体を眺め、 足に貴女の歴史を語らせましょう。表現力豊かな顔の皺の ように、足は、貴女の経験や人生の物語、魂を内側に宿し ています。(中略)足を胸に寄せ、自分は愛されている人 間であるという気持ちで抱きしめましょう。愛と思いやり は、世界を動かすことの出来る二つの要素です。
ベリーダンスを踊ることによって、足や関節すべてに 注意を傾けることが出来ます。心を砕くこと、それは、 足を丈夫で強くするために必要です」。
作者は、「東洋では、誉れ高き人に敬意を示すときに 跪いて足に接吻します。また、手と同様に足にもヘナを 施し、いたわる慣習があります」と指摘します。忙しい 日常に追われ、私たちは働き者の自分の足を思いやる余裕 を失っているのかもしれません。生きることと、ダンスを 踊ることとはつながっていて、自分の身体について知り、 思いやり、その潜在的な力を最大限に引き出していくこと が、ベリーダンスの真の目的なのではないかと気づかせて くれた章でした。
次回のリーディング・サークルは、10月15日(日)13時 から。いよいよ最終章である第4章に入り、Floor Danceや Stick Dance(アサヤ)、結婚式やお葬式、瞑想のダンス など、さまざまなダンスが中東の歴史の中でどのような 意味をもち、発展してきたのかを学んでいきます。 また、11月、12月の開催予定日も出ています。12月に完訳 しますので、ご関心のある方は、この豊かな気づきの場を ぜひ体験してみてください。
そして来年1月からは、次の本を訳し始めます。 現在、海外から取り寄せたさまざまな本を吟味している ところですが、いずれも美しく深い内容です。 一つ一つ新しい扉を開くように、人生に気づきと歓びを もたらしてくれる本との出会いが心から楽しみです。
更新日:2017.09.30 Saturday