Reading Circle (読書会) vol.7 レポート
梅雨明けが待ち遠しい7月の昼下がり。Reading Circle第7回がスタジオで開かれました。この日は、イスタンブールの旅行から無事帰国したダンスシスター・Aynurさんの土産話を聞きながら、トルコの可愛らしくて美味しいお菓子・ロクムを頂き、和やかに会を進めました。
ベリーダンスの歴史を、世界史やフェミニズムの変遷を交えて紐解いていく専門書「Grand Mothers’ Secrets」、今回のテーマは「世界最古の発達した文明におけるダンス」でした。
父権制社会への移行が進んだエジプト新王国、クレタ文明、ミュケナイ文明の始めまでは、女性達はまだ、髪を振り乱し全身で歓びを表現する古来のダンスを踊っていました。しかし都市国家が発達するにつれ、ギリシャ哲学の大家・ソクラテスが「踊りの名手はすなわち優れた戦士である」と語ったように、ダンスは次第に、男性のための、戦争に備え身体能力を高める手段へと変容してゆきます。
続いてローマ帝国時代になると、女性は政治経済の舞台からはずされ、女性が社会的役割を果たすために踊っていたスピリチュアルなダンスもまた、表舞台から姿を消します。代わりに帝国の領土となったCadiz(スペイン南西の港町)やSyriaから、“プロ”としてのダンサー達が輸入されてきます。そしてキリスト教がローマ帝国の国教となると、聖アウグスティヌスの「原罪」の教義により、肉体は罪の源とみなされ、女性による母なる大地とつながる儀式のダンスは、その教義と相容れないとされ、禁じられてしまいます。
紀元前27年から2世紀末まで続いた、地中海世界におけるローマ帝国の統治は、「Pax Romanaローマの平和」と呼ばれ、文化が花開いたというイメージが持たれていますが、それは為政者にとってのものであったことを感じざるをえませんでした。
一方で、ローマ帝国の基盤が揺るぎなくなった時代は、幸いにもある程度まで、ギリシャ神話の神々を崇める祭りが復活します。
中でも、多くの人々に愛されたワインの神様・「Bacchusバッカス」のお祭りは盛大で、バッカスの巫女である実りの女神・「Maenadメナード」は、蛇を頭に巻き、レオパードを手にもって振り回し、身体を大きくくねらせて踊ったのだそう。あの化粧品メーカーの語源ともなった、美しい女神メナードを讃えた遺跡や絵画からは、まだこの時代に、生命力ある女性本来のダンスが生きていたことが見て取れます。あまりに素敵なその描写の数々に、「ぜひこんな風に踊りたいね!」と盛り上がりました。
この後も、文明の発達と、それぞれの時代の為政者の価値観によって、女性達のダンスは翻弄されてゆくことになります。今日私達がこうして踊ることが出来ることに改めて感謝しながら、学んで行きたいと思います。次回vol.8は8/28(日)13時から、テーマは中世です。お楽しみに!
Reading Circle (読書会) vol.7 レポート By Zelal
※次回リーディングサークルは8/28(日)13:00-16:00を予定しています。
お気軽にご参加ください。
参加費:3000円
参加申し込み:ruhanibellydancearts@gmail.com
(件名:リーディングサークル)
または各担当インストラクトレスまで。
※vol.9は9/4(日)13時からです。
更新日:2016.07.31 Sunday