【Celebration】Siren(セイレーン) by Eiko ono wada
Siren(セイレーン)は、ギリシャ神話に登場する半人半鳥の海の妖怪。岩礁から船乗りたちを妖艶な歌や美しいメロディーを奏でて誘惑し、死に至らしめ ます。その歌を聞いた者は誘惑に勝てずに、自ら海に飛び込んでしまう程の危険な魅力を持っています。英語のサイレン(警報)の語源にもなっています。
父親は河の神Acheloos、母親は芸術を司る女神Melpomene(女性歌手という意)。
もともとSirenは、豊穣の女神デメーテールに仕えるニンフでした。ある日、デメテールの娘の幼きペルセポネーが冥府のハデス神に誘拐され、デメテール はSirenに鳥の身体を与え世界中を飛び回って探させましたが、見つかりませんでした。その罰として鳥の姿のままになったと言われています。そのため、 Sirenの歌声は美しくもどこか哀しげな旋律です。
中世以降、Sirenは鳥ではなく人魚として描かれました。古代は海岸の陸地を目印に航海していましたが、中世に羅針盤が発明されて沖合を遠くまで航海できるようになり、Sirenのイメージは海岸の岩場の鳥から大海の魚へと変化したからです。
スターバックスのロゴに描かれる人魚もSirenをモデルとしており、人々がSirenの歌声に抵抗出来ぬ魅力を感じたようにコーヒーで人々を魅了したい、という思いが込められてるそうです。
妖怪と聞くと悪いイメージがありますが、「人知では解明できない異様な事物全般」と定義され、広義では神も含まれます。その行動や特徴が人間の持つ「欲望」や「恐怖」などの様々な心理を表すのに利用されていると考えられています。
父権制社会のギリシャにおいて、女性は魅力的で「欲望」の対象である反面、その魅力に溺れてしまうと身を滅ぼす危険、また出産などの女性しか持ち得ないパワーへの「恐怖」がSirenのような妖怪を産みだしたのではないでしょうか。
更新日:2016.06.19 Sunday