【Celebration】.*:.*.*現代女性が女神を踊る意味..*:.*. by Zelal Sasha Bellydance Daiary
Ruhani Bellydance Diary
★ベリーダンスを通して日々感じることを紹介する ルハニ・ベリーダンス・ダイアリー★
「女神のソロショー」を前にそれぞれが踊る女神のこと、女神を踊る意味などをそれぞれのダンサーが語ります。
美の女神アフロディーテや月神デメテル、インドの破壊の女神カーリー・・・。東西に伝わる様々な女神達の物語。絵本や映画の中でファンタジーとして描か れることが多い女神ですが、現代を生きる私達が、こうした太古の女神神話に託された真のメッセージを読み解き、踊るということには、とても深い意味があり ます。
ユダヤ教やキリスト教といった一神教が伝播する遥か以前、紀元前数万年から数千年前にかけて、中東・小アジア・地中海沿岸・ヨーロッパ大陸には、女性を頂 点とする「母権制社会」が存在していたことが、今日、多くの歴史学者による発見や研究で明らかになっています。
そこで女性達は祭司(シャーマン)として社会を司り、産婆や死者の供養など、人間の生死の節目を執り仕切り、農業や機織りの知識を持って生産活動の中心 を担っていました。また、自然現象の中で最も変化が把握しやすかったのが月の満ち欠けであったため、太陰暦が発展しましたが、これも女性のからだのサイク ルに合ったものでした。
紀元前1千年紀頃にユダヤ教やキリスト教が伝播すると、この母権制社会は次第に失われ、代わって一神教的男神崇拝に基づく「父権制社会」が台頭します。
ここでは、自然の運行ではなく人が考えた抽象的秩序が尊重され、戦士的で、性や肉体を不潔視し、悪を厳しく否定する二元論的価値観が人々を支配していき ます。女性の持つ能力や役割は、秩序を乱す忌まわしきものとされ、古代に女性を頂点とした社会があったことは、歴史から忘れ去られていきました。
しかし、14-16世紀にかけて、教会中心の封建社会から人間を解放する「ルネサンス(文芸復興運動)」が起きると、神話時代を再評価する動きが生まれてきます。その中心の一つが19世紀のドイツでした。
当時ドイツでは、啓蒙主義的なフランスの文化支配を脱し、個人の感性と直感を重視するドイツ・ロマン主義が生まれていました。自我を意識し、夢と現実、 生と死の境界領域の探索が盛んに行われる中、一人の法学者が、ギリシア神話の中のオリュンポスの神々のもつ激しい明るさに疑問を抱くようになります。
彼の名は、ヨハン・ヤコプ・バハオーフェン(J.J.Bachofen)。 彼は、豊穣の女神であり、死と再生を司る冥界の女王・デメテルの神話やモ チーフに深い関心を抱きます。そして、まるで謎解きをするように、東西の膨大な神話伝承と古代遺跡を研究。太陽神崇拝以前に、“何かの世界”、つまり”光 が生まれる前の闇の世界”が、幅広い地域で信じられていたと確信します。
そして、女性がその崇敬すべき母性を根拠に社会を司った「母権制社会」があったことを、初めて世に問いました。その著書「母権制論」(1861年)は、ニーチェやユング派など、その後の歴史や思想の潮流に多大な影響を与えたのです。
その後、時代の変遷を経て、1960年代から欧米でフェミニズムが盛んになり、歴史の再評価と女性のエンパワメントが始まります。
フェミニスト神学者によると、女神は「女性が対人的・対社会的に発揮する力を肯定する文化的シンボルであるとともに、より内的な力の源泉のシンボルでも ある」と言います。そして女神とつながることで、女性は自己を肯定し、より生き生きと生命力を発揮することが出来ると言います。
更新日:2016.06.03 Friday