レポート Reading Circle “Salome -The Myth, the Dance of Seven Veils-“-読書会-vol.09 4/21(sun) 開催
19世紀末にThe Aesthetic Movement-唯美主義運動-の中心として数々の問題作を発表したアイルランド人の作家、Oscar Wilde。彼の戯曲Salomeを読み解く読書会の第9回目を、4月21日に行いました。
この日読んだのは第一章の最終章。ワイルドの問題作が、その後の芸術、女性の生き方、そしてダンスにどのような変化をもたらしたのかを深めていきました。
彼がビクトリア朝時代の偽善的な社会に挑戦状を突きつけるかのように、派手で耽美主義的な作品と行動で人々を挑発し、自らの同性愛者としてのアイデンティティをもさらけ出して、芸術至上主義者としての人生を全うしていく様は、壮絶以外の何物でもありませんでした。最後には恋人である男性の父親に訴えられ、投獄され、カミングアウト前の結婚で授かった最愛の息子たちに会うことも叶わず、病を患い亡くなっていくのですが、それでも彼は獄中記の中で恋人に宛ててこんな言葉を残しました。
「私は快楽のために生きた自分の人生を一瞬たりとも後悔したことはない。私はワインの盃に真珠を投げ入れた。フルートの音色の中、桜草の小道を歩んだ。ミツバチの巣の中に暮らした。これからは、制約を受けないよう少しやり方を変えながら、さらに前進するつもりだ。なぜなら、楽園のもう半分は未だ私にとって秘密のままなのだから」。
自分のセクシャリティと生きづらさを表現活動の糧として、最期まで毅然と、でもこの上なくextravagantでかっこよく、かつ優しく鷹揚に生きたワイルド。彼にインスパイアされ、その後どれだけ多くの芸術が生み出されたことでしょう。
実は彼の母親は、当時のダブリンやロンドンの知識人の間では有名な言論活動のサロンを主宰する知的で情熱的な女性でした。そんな母親から強く影響を受け、女性の解放と自身のセクシャリティの解放を重ね合わせた作品を数多く発表したのだといいます。
戦後になるまでロンドンにおいてですら発禁や上映禁止となったサロメ。今日のように、当たり前にこの作品を読んだり鑑賞でき、さらに女性性を解放しながらダンスが出来る時代は、こうした幾多の芸術家たちの闘いがあったからこそと、改めて実感しました。
そして最後に、イラン人の女性画家が英訳し、ペルシャ語の文字をモチーフにした美しい装画付きのRumiの詩のカードで遊び、たくさんのお話をシェアして充実した時間を終えました。
次回の読書会は今週末の5月26日(日)の12時からです。いよいよ第二章の二節目に入り、ワイルドの名作と、彼の芸術活動「唯美主義運動」に触発された画家やダンサーなど、ベル・エポック時代の主要な表現者達の作品について、じっくり学んでいきます。
単発のご参加も大歓迎!時代背景を資料をもとに丁寧に解説しながら、わかりやすく翻訳していきます。本にインスパイアされた感想や自分の体験を語り合う温かな集まりですので、お気軽にご参加ください。
Reading Circle “Salome -The Dance of Seven Veils-“-読書会-vol.10 5/26(sun)
後記 Zelal
更新日:2019.05.21 Tuesday