Reading Circle vol.20 -読書会レポート-
Reading Circle vol.20 on August 27th @ Ruhani Bellydance Arts💝
ベリーダンスの歴史を描いた「Grandmother's Secrets」を 読むリーディングサークル。8/27(日)に第20回目が 行われました。 今回は、ベリーダンスにおいてとりわけ重要な二つのテーマ について学びました。 一つ目は「腰」。ヒップドロップやヒップシミー、 フィギュアエイト、そしてダブルサークルを加えたフィギュア エイトなどについてです。一つ一つの動きの詳細や、女性の 身体にどんな効能をもたらすかに加え、動きの根底にある 思想や哲学が美しい言葉で綴られていきます。 イラク出身のスーフィー学者であり、ベリーダンサーでもある この本の著者は、これまでも、イスラム世界以前の中東の 死生観を色濃く映し出した深遠な描写をしてきましたが、 今回のフィギュアエイトに関する記述は、これまで以上に 力強く、深い感銘を与えてくれるものでした。 「・・・フィギュアエイトは、ベリーダンスの礎となる深い哲学 を表しています。(中略)円と直線は元々ある形ですが、 フィギュアエイトという無限を象徴する形は、 貴女自身が作り出すものです。(中略)腰のムーブメントが 無限を象徴しているのに対し、腕の動きは、有限の世界を象徴 しています。この動きによって貴女は人間が存在する二つの世界 を体現し、ある哲学を体験しています。その哲学はこう語ります。 『あたかも永遠に生きることを運命(さだめ)られているかの ように、地球上の世界に生きなさい。いつでもさよならを言える 準備をしているかのように、次の世界に備えて生きなさい』。 フィギュアエイトを通じて、二つの世界を隔てている 困難な壁を打ち破り、本質へと近づくことが出来ます」。
そしてもう一つのテーマは「骨盤」。無理のない自然さを象徴 する“蛇”が、骨盤の中でとぐろを巻き座っている、という 意味深なサブタイトルが付けられた章です。 ヨガやベリーダンスの本でよく見かけるように、東洋では、 蛇はしばしば生命力の象徴として描かれていますが、この章では、 その感覚を持って踊るための助けとなるような、スケール感ある 描写が展開されていきます。その導入をご紹介しましょう。 「・・・骨盤で円を描くとき、貴女自身の中にも、地球という 大いなる球体が映し出されています。 貴女の力は、力強く静かに臍までぐるぐると上昇し(中略)、 骨盤がそれを届け、回り始めます。(中略)深い呼吸が腰に届く と、円は次第に大きく大胆になり、“ノスタルジー”が沸き起こり ます。貴女の力は、身体を超越します。毛穴が開き、周囲の空間 すべてを取り込み、部屋を越え、街を越え(中略)、森を越え、 川へ、海へと達します。(中略)砂漠を越え、地球を越え、遥か 星へ、宇宙へ、無限に、永久に・・・。再び衝動が貴女を呼び 戻します。力の源泉である円はゆっくりと、広大な場所から、 (中略)自分の身体へ、お腹へ、臍の濃密な一点へと戻ります」。 「骨盤」の章で使われていたnostalgiaという言葉は、 日本語では、ふるさとなど特定の場所への懐かしさを示す「郷愁」 となってしまいがちですが、ここでは、自分という存在が時空を 超えてより大きな存在へと還っていく感覚であると理解し、 “ノスタルジー”と訳しました。
そして読み終わった後、皆でイメージを膨らませ、骨盤から ノスタルジーが沸き上がってくるのを感じながら踊り、 ムーブメントを味わいました。すると、「これまで何となく 心地良いなあと思っていた動きに、こんな意味が託されていたと 分かったことで、なぜ快感なのかが腑に落ちた」という声が たくさん上がりました。
差し入れの蓮茶の優しい甘みで喉の渇きを癒し、Nourahさんの トルコ土産である可愛らしいロクムをつまみながら、読み、語り、 踊り、そしてまた読み続け・・・あっという間の、 でも至福の3時間でした。 次回の第21回は、9月17日(日)13時からです。 「骨盤」の続きを経て、いよいよ「お腹-Belly-」です。 著者の力強く愛情のこもった描写を、楽しく読み解いていきます。 フラッターについても詳しく描写されているので、 単発で参加されてもとても深い学びになると思います。 踊りながら読み進めますので、次回はぜひお腹をちょっと出せる 服装で参加されると良いですね。 2016年1月から始まったこのリーディングサークルは、 今年12月の第24回での完訳をもって終了の予定です。 まだ参加されたことのない方も、 心豊かなこの時間をぜひ体験してみて下さいね!
更新日:2017.09.06 Wednesday